万年筆を気軽に使う

ボトルインク


ちょっとしたアイディアや心に残った言葉を書き留めるときに、万年筆を使っています。

カートリッジインクを愛用していましたが、ボトルインクを初めて買ってみました。

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万年筆のボトルインクはコスパがよい

コンバーターという容器にインクを詰めて使います。といっても、やり方がわからない。

そこで参考にさせていただいたのがこちらの動画。

あっけないくらい簡単です。

ボトルインクは、そのボトルが美しい。なんとなく、置いておくだけでサマになります。

そして美しい点がもうひとつ。それは名前です。
私の持っているインクの名前は「ミステリアスブルー」。
昔は「ブルーブラック」という名前だった気がするけれど、「ミステリアスブルー」のほうが圧倒的にドラマチック。

万年筆

万年筆のインクの色は、黒や青はもちろん、赤、緑、ピンク、紫と本当に多様です。そしてその名前もそれ以上に多様。インクの色合いに合った、美しい名前がついているのですよ……。

濃い紫の「山葡萄」、エメラルドグリーンのような「孔雀」など。すてきな名前のついたインクが各メーカーからたくさん出ています。

持ち運びの利便性がカートリッジインクのよさ。そしてボトルインクのよさは、ボトルや名前の美しさということに加えてやっぱりコスパ。頻繁に使うのであればコスパの良さはやっぱり大きな魅力です。

とはいえ、私も頻繁に使うようになったのは最近のこと。


「敷居が高い筆記用具」という先入観も手伝って、机の奥で長らく冬眠していました。そのうち、存在も忘れてしまいました。

十数回の冬越しののち、発見された万年筆。合わせて買ったカートリッジインクも凍死を免れていたので、なんとなく使い始めてみたのです。

万年筆はオフィシャルな文書用ではない


万年筆は履歴書や改まった手紙など「オフィシャルな文書用」と思っていましたが、そもそも「改まった手紙」を書く機会などありません。いつも手に取れる場所に置いて、宅配便の受け取りのサイン、買い物のメモ、あらゆる普段使いにフル活用することにしました。

そうやって使い慣れてみると、万年筆は決して「オフィシャルな文書用」ではなく、むしろ書きなぐる日記やアイディア帳に適していると思います。

こう感じた最大の理由はペン先の滑りの良さです。

普段使っている「中字」の太さのペン先はとてもあたりが柔らかい。ペン先が紙になじんで、とても滑らかに走ります。

万年筆

水性ボールペンも、確かにスラスラ感があり、初めて水性ボールペンを使ったときは「もう油性ボールペンには戻れない」と思うくらいのスマートさに衝撃を受けました。

ただ、水性ボールペンはそのスマートさゆえに、どこまでいってもペン先と紙の間に「ある距離」を、私は感じるのです。
ところが万年筆はその距離を飛び越えてペン先と紙がひとつになる。それが万年筆で「書きなぐる」「書きつける」独特の楽しさを生み出している気がするのですよね。その感覚が「気軽さ」にもつながると思います。

万年筆はペン先によって「超極細」から「極太」まで書ける線の太さが変わります。

私は「中字」と「細字」の2本をもっていますが、手帳などにびっしり書き込むなら、細字(写真の赤字の方)が便利。中字(写真の青字の方)は、手帳よりもノートにジャストサイズ。

万年筆

赤字のペンはプラチナ万年筆の「プレピー」というシリーズの0.3ミリです。本体がプラスチックなので軽く、価格も数百円でお手頃。万年筆を気軽に試してみるのにおすすめです。

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万年筆は懐が深い


向田邦子さんのエッセイに「フランスで万年筆を買う」場面があります。

そのエッセイはもう手元になく、記憶もおぼろげ。たぶんこんな内容だったかな……。

試し書きをさせてもらう向田さんを、売り場のマダムが「ノン」と止める。そのやり取りが何度か繰り返されて「縦書きで試し書きをしているから止められたのだ」と気づきます。

「まだあなたのものになっていない万年筆のペン先に縦書きの癖がつくといけない」という理由で、マダムは試し書きを止めた、という話だったと思います。

ちなみに向田さんの試し書きは、縦書きで「今頃は半七さん」。
これも今調べてみたら、文楽の演目「艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)」の有名なセリフ。
さすが、試し書きのフレーズも粋。

それはともかく、ちょっと縦書きにしたくらいで癖がつくなんて、万年筆とはなんと繊細な筆記用具なのだろうと、エッセイを読んでとても印象に残りました。

今は、縦書きも横書きも関係なく好きなように使っている万年筆。
どんな癖がついているのかわかりませんが、どんな癖のある私も受け止めて、なじんでくれる懐の深さがある筆記用具だと思います。