ズバリ言わないタロット占い

あなたの未来をズバリと言うのはあなたです。タロットカードじゃありませ~ん

むかしむかしこんな課長がおりました

f:id:mappi88:20180522220715j:plain

 

むかしむかし、ある職場に、「自分の感情をそのまんま表に出すのがとっても得意な課長」がおりました。名前はマイケル(仮名)。年齢は50前後だったでしょうか。私はその課の課員でした。

 

「感情をそのまんま表に出す」ことはかまわないのです。感情が見えやすいということはメリットでもあるからです。

上司に相談するにしても報告するにしても、あまり余計な方向へ話が向かわないよう、スムーズにさらっとすませたい。よって、「上司の機嫌がよさそうな時を伺う」スキルがどんどん磨かれていくというのが部下というイキモノ。

そういう意味では、「機嫌がいい!いまだ!」というタイミングがわかりやすいことは、決して悪いことではありませんでした。

 

しかしマイケルの場合、「感情のベクトルの方向が一切予測不可能」というもうひとつの特徴がありました。まるで為替のチャートです。FXで、この流れなら間違いないとエントリーした時に限って、必ず逆方向へ動く、というあれですね。

 

あははと笑いながら電話をしているマイケルを見て、「今なら大丈夫」と、彼が受話器をおいた瞬間に話しかけたらなぜか烈火のごとく怒りだす、などという惨事が日々繰り返されておりました。誰がどう見ても怒る要素ゼロの案件でも、です。

「どんなことにでもよい面を見つけること」も特技ですが、マイケルレベルになると、「どんなことにでも怒ることができること」もひとつの特技にまで昇華されている感がありました。

 

マイケルは、怒ると「魔の2歳児」に変身。「了解」という言葉が彼の辞書から消えます。すべて「イヤイヤ」のイヤイヤ期となります。

課長の了解が得られないと前へ進めない案件は、イヤイヤ期が長引くとどんどん遅れていきます。しかし、私ども課員は、イヤイヤ期が過ぎ去るのをひたすら待つしか術がない。一同、これは修行と心得て、ただただ首を垂れるのみでした。

 

そんな修行僧たちの息抜きは、マイケルが帰宅した後の「マイケルのモノマネ」。

今日もこんなことで怒ったね~などと面白おかしく再現し、憂さをはらしていたものです。もう、笑わないとやってられないという心境だったのですね。マイケルのもと、私たちが何とか無事に仕事ができたのは、この物まねの時間のおかげだったかもしれません。

 

私たち修行僧の絆をぐっと強めてくれたマイケルは、その後定年退職を迎えることになりました。それにあたって、「あの頃は、自分の未熟さで皆さんに迷惑をかけた」という言葉をぽつり。

 

その言葉で、我々修行僧は「あ、マイケルは、自分が感情をコントロールできないことを自覚してたんだ・・・」と気づきました。

自覚してても直せない。

だから余計に自分に腹が立つ。

自分への怒りが、表に出ていたのかもね。

なんて、偉そうに分析しあってみましたが、本当のところはどうだったのか。

 

あの頃は私たちも修行でしたが、マイケルにとっても修行だったのかもしれません。

いずれにしても、時がたつと修行も楽しい思い出になるのが不思議です。